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Buffet Crampon Clarinet Divine

ビュッフェ・クランポン Divine 徹底解説|RC系統の思想を磨き上げたフラッグシップ | Buffet Crampon

クラリネット深掘り特集・第7回

“Divine”とは ― RC系統の思想を磨き上げたフラッグシップ

〈ビュッフェ・クランポン〉“Divine”は、RC系統の設計思想を基盤としながら、新たな音響研究と構造面での洗練を重ねて完成したフラッグシップモデルです。
2012年に誕生した本機種は、RC系統の音響的特長を継承しつつ、開発過程で得られた知見や新素材の採用を含めた総合的な技術進化によって完成しました。
R13系統が明瞭さと遠達性を軸に発展してきたのに対し、RC系統は均整と厚みを核として発展してきました。“Divine”はそのRC系統のボア思想を基盤に、イントネーションの信頼性と音程精度の整合を最優先課題として、設計全体の完成度をいっそう高めたモデルです。
本機種は、ポール・メイエを中心とする研究プロジェクトの成果として誕生しました。その開発は約5〜6年にわたり、国際的奏者と技術者による継続的な検証を経て完成に至っています。



30秒でわかるDivine
  • RC系統のフラッグシップ
  • 約5〜6年にわたる国際的検証プロジェクト
  • 音域全体の音程整合性を大幅に改善
  • カーボンファイバー製リングによる軽量化(約60g)
  • Low Fキー装備
  • 上管要所にグリーンライン挿入
  • 新設計キーワーク/新スパチュラ
  • 合成ポリマー製ジョイント素材採用

“Divine”は〈ビュッフェ・クランポン〉クラリネットショールームにてご試奏いただけます。 ショールームのご案内
RC系統の設計思想については、こちらの記事で詳しく解説しています。RC深掘り記事

開発背景 ― 5〜6年にわたる音響研究プロジェクト

“Divine”は、特定奏者のためのモデルではなく、国際的な演奏現場における要求精度を基準として設計されたモデルです。
プロジェクトの中心となったポール・メイエは次のように語っています。

「特定の一人のための楽器ではなく、国際的な視点から検証された楽器を目指しました。」

ミシェル・アリニョン、パスカル・モラゲス、ニコラ・バルディルーをはじめ、世界各国の主要オーケストラ奏者が開発段階に参加し、各段階での試奏と検証が設計に反映されました。

開発にあたっては、RC系特有の丸みある音色を維持しながら、ブランドの基準機であるR13系統フラッグシップ“Tosca”に匹敵するイントネーションの安定性と音程精度の実現が重要な目標とされました。

「あらゆる状況で、できる限り正確に演奏できる楽器を目指しました。」( ポール・メイエ/テスター)

その結果、“Divine”はRC系統の音響的個性を保ちながら、現代の高度な演奏環境に対応する均質性と柔軟性を兼ね備えたモデルとして完成しています。

→ R13系フラッグシップ“Tosca”については、別記事で詳述しています。:Tosca深掘り記事

設計の核心

1. Tosca音孔配列の採用(RC系内径との融合)

“Divine”は、R13系統フラッグシップ“Tosca”の音孔配列設計を採用しています。

これにより:
・全音域での音程整合性の向上
・音域間移行の滑らかさ
・厳しい演奏条件下での発音安定
が実現されています。
ただし、内径構造はRC系統を基盤としています。

すなわち、RC系の広めの内径に、Toscaの音孔設計を整合させるための丁寧な検証が重ねられました。
これは単なる仕様転用ではなく、多くの試作と検証を経て整合が図られた結果です。

2. 内径設計の再検証

RC系統はR13系統よりも広めのポリシリンドリカル内径を持ちます。
“Divine”ではこの内径思想を維持しながら、音孔配置との整合性をより高い次元で磨き上げています。

結果として:
・音域間の均質化
・音程の安定
・応答性の向上
が全体設計として統合されています。

3. カーボンファイバー製リング(特許技術)

従来の金属リングを廃し、カーボンファイバー製リングを採用。
・約60gの軽量化
・重量バランスの最適化

を実現するとともに、木材本来の振動特性を活かす設計が行われています。

4. グリーンライン挿入(上管要所)

A♭トリル孔、トリルキー孔、シャルモーキー孔など、応力が集中しやすい箇所にグリーンライン素材を挿入。

これにより:
・微細な亀裂による気密低下の抑制
・タンポ接地部への亀裂進行の抑制
・演奏中の気密安定
が意図されています。

5. 合成ポリマー製ジョイント素材

従来の天然コルクに代わり、圧縮しにくい合成ポリマー素材を採用。
・経年劣化による圧縮防止
・接合部の気密安定

を実現し、演奏時の安定性向上に寄与しています。

6. Divine専用キーワーク

“Tosca”で採用された人間工学的なキーの設計の思想を踏襲しつつ、より多くの奏者が自然に扱えるよう、キーワーク全体に改良が加えられています。
・新設計キーワーク
・新スパチュラ
・LowFキー装備

により、演奏安定性と高度な演奏技術への対応を両立しています。

発売当時に公開された開発責任者、テスターによる説明動画

【YouTube動画】
チャンネル:Buffet Crampon Official (Paris)
動画タイトル:Paul Meyer & Éric Baret – Divine Development
ポール・メイエとエリック・バレが“Divine”の開発思想と技術的特徴について語る記録。

音色と演奏特性

“Divine”はRC系統の丸みと厚みを基盤としながら、イントネーションの信頼性と音程精度を高次元で統合したモデルです。

特徴:
・丸みのある響きと音の均質性
・倍音の豊かさ
・応答性の高さ
・音程の安定

音の密度と透明性が同時に成立し、奏者の意図に対して楽器が自然に応答する設計が追求されています。

ポール・メイエはインタビューで、「楽器がこちらに何かを強いるのではなく、音楽の要求に即座に応答する状態を目指した」と語っています。

【YouTube動画】
チャンネル:ポール・メイエ トピック
動画タイトル:2/3 Adagio – Louis Spohr Clarinet Concerto No.1 Op.26
ポール・メイエが〈ビュッフェ・クランポン〉“Divine”プロトタイプで演奏した記録。

Buffet Crampon Divine players
“Divine”を愛用・使用歴のあるアーティスト(現在の使用機種を断定するものではありません)

系統内での位置づけ

“Divine”は、RC系統の設計思想を継承しながら、現代の技術的成果を統合して完成された最上位モデルです。
R13系統における“Tosca”と同様に、“Divine”はRC系統の頂点に位置づけられます。
RC系統は、均質で包容力のある音色と、滑らかな音の連なりを特長として発展してきました。その流れの中で“Divine”は、従来のRC系の美質を基盤としつつ、現代の演奏家が求める精度と安定性を総合的に高めることを目的として開発されています。

・“RC”:均整と厚み
・“Prestige”:粒立ちと洗練
・“Divine”:音響思想を磨き上げたフラッグシップ

ソプラノクラリネット内径設計の系統図

→ ソプラノクラリネットの各設計系統の全体像については、以下の特集ページをご参照ください。: 内径系統の比較記事

ポイント フラッグシップ比較:RC系“Divine”とR13系“Tosca”

“Divine”はRC系統のフラッグシップ、“Tosca”はR13系統のフラッグシップです。両機種は同じ〈ビュッフェ・クランポン〉の最高峰に位置づけられながら、出自となる内径設計と音響思想が異なります。

  • “Divine”:RC系内径を基盤に、音程整合性の再検証を最優先として再設計
  • “Tosca”:R13系内径を基盤に、遠達性と音程均整の高度化を追求

仕様(B♭)

・ピッチ:440/442Hz
・管体:グレナディラ材
・上管一部トーンホール:グリーンライン素材
・リング:カーボンファイバー製
・システム:ベーム式(19キー/6リング)
・キーワーク:銀メッキ
・補助キー:Low Fキー装備
・接合部:特殊合成ポリマー素材
・パッド:GORE-TEX+天然コルク
・付属ケース:専用仕様ケース
(詳細仕様はブランド公式サイトの製品情報をご確認ください。)

まとめ

“Divine”は、RC系統の音響思想を基盤に、イントネーションの信頼性と音程精度を最優先課題として、その完成度をさらに高めたフラッグシップモデルです。
約5〜6年にわたる国際的検証を経て、Toscaの音孔配列設計とRC系ボアを高い水準で両立。さらにカーボンファイバー製リングやグリーンライン挿入などの技術的進化を通じて、音域全体の安定性と応答性を高い水準で統合しました。
それは単なる上位仕様ではなく、精度と信頼性を追求する現代の演奏環境に応える設計といえます。
RC系統の音色観を愛しつつ、より高い精度と安定性を求める奏者にとって、“Divine”は一つの到達点となるモデルです。

関連モデルとして、〈ビュッフェ・クランポン〉の“Légende”“BCXXI”など、同シリーズのクラリネットも今後順次ご紹介していきます。

執筆・構成:ビュッフェ・クランポン・ジャパン
出典:ビュッフェ・クランポン社内アーカイブ(開発者対談/年史/製品資料等)、公式製品ページ
参考:当サイト掲載インタビュー・イベント記事 ほか
注記:本記事は社内アーカイブに基づく一次情報を中心に構成しています。

関連情報|〈ビュッフェ・クランポン〉のクラリネットは、ビュッフェ・クランポン・ジャパンの「クラリネットショールーム」または全国の公認特約店にてご試奏いただけます。

クラリネットショールーム|Clarinet Showroom
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