
ビュッフェ・クランポン Prestige 徹底解説 |丸みのあるRC系を洗練させた豪華版 | Buffet Crampon
クラリネット深掘り特集・第4回
“Prestige”とは ― 〈ビュッフェ・クランポン〉“RC”を洗練させた上位機種
〈ビュッフェ・クランポン〉“Prestige””は、“RC”系の上位機種として、熟練職人の工法で仕上げられたプロフェッショナル・モデルです。ヴァイオリンのように木目の美しい木材を使用し、“RC”よりもさらにまろやかな音色と、コロコロと均一な音の粒を並べることができることが大きな特徴です。2020年には、それまでヨーロッパ向けだったハイピッチと、日本やアメリカ向けだったローピッチとが統一され世界共通仕様になるなど、時代の変化や楽器製造技術の進化に伴う大きなリニューアルが行なわれました。
- RC上位機種:均一性とまろやかさ、粒立ちの整い
- ベル内部形状/2014年フラット底部ベル
- Gore-Texパッド/E♭/A♭レバー
- 2020年:A管の応答・整合改善/下管E♭レバー調整ねじ/B♭65&66、A64&65の2本バレル

開発ストーリー:誕生の背景 ― “RC”の美点を保ちつつ仕上げを洗練
“Prestige”は“RC”の上位機種として1976年に誕生。テスターと製作陣は、RCの広めの内径がもたらす丸みある響きと均一性を尊重しながら、仕上げをより洗練させ、さらに音の粒立ちの均一さを一層高めることを目標に設計を進めました。いくつか技術的な革新もあり、特に独特のベル内部形状は、音程面と音色面の両方において高評価を得ました。
「“Prestige”は、RCの特性を保ったまま仕上げと均整を高めた上位機種として設計されました。」――ダニエル・ゴーティエ(前開発責任者)
設計の特徴 ― “RC系”の核+時代に合わせた進化
・ベル内部形状:低音域の音程の改善と“Prestige”らしい響きに寄与。
・2014年:ベル底部をフラットにし、音に明るさと輪郭をプラス。
・2020年:
・A管:上管C♯/G♯を立ち上げ音孔(煙突)にし、クラリオン音域の発音を容易に。また、Vintageで採用されたレジスターチューブを止める高さの変更により、Bb管との吹奏感のギャップを改善。
・下管E♭レバー:調整ねじ追加
・ピッチを世界共通仕様に統一:世界中のピッチの変化に対応。同時に付属バレル:B♭=65/66mm、A=64/65mmの2本構成へ変更
・パッド:Gore-Tex。
・その他:E♭/A♭レバー、接合部補強リング、アフリカ産最上質グレナディラ(“木目の美しい木材”)

音色と特徴 ― まろやかさ+均一さ+豊かな倍音
“RC”譲りの丸みのある音を土台に、音の粒立ち・音程の整いがさらに均質。倍音が豊かなので、朗々としたフォルテから息をのむようなピアノまで、美しく響きます。大編成のオーケストラでも、ブレンドが重視される室内楽でも、和声の内声でも持ち味を発揮します。
「“Prestige”は私のお気に入りで、19歳の時から33年間使い続けています。新製品も試しますが、結局は“プレスティージュ”を買って帰ります。オペラ座のオーケストラで演奏し、毎日舞台の上の歌手の声を聴き、歌手と一緒に楽器で歌う経験を積んできた私にとって最も美しい“人間の声”が出せるからです。」――カロジェロ・パレルモ(チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団ソロ奏者)

系統内での位置づけ ― RC → Prestige → Divine
・RC系のプレミアムレンジで、“RC”の上位機種。
・フラッグシップモデルの“Divine”は、RC系の丸みのある響きにさらなる工程や・構造的改良を加え、音の飛びやレガートのかかりやすさ、跳躍のしやすさなど、楽器としての性能の高さを実現。
・輪郭がはっきりした明るさが特徴の“R13系”とは異なる本職を持つ。丸み・キラキラした豊かな倍音・均一な音の粒立ちを求める選択肢が“Prestige”。

仕様
・調子:B♭/A
・システム:ベーム式
・管体:アフリカ産最上質グレナディラ
・接合部:補強リング(グリーンライン使用のモデルにはつきません)
・キー:洋銀・銀めっき/精密特殊加工スチール(針ばね・板ばね)
・パッド:Gore-Tex
・補助:E♭/A♭レバー(下管左手小指)
・付属バレル:B♭=65/66mm、A=64/65mm
・ケース:ビニールレザー張りポシェット(ワイン)+ケースカバー(ショルダーストラップつき)
まとめ
“Prestige”は、“RC”を洗練させた上位機種として、まろやかさと音の粒立ちの均一さを高い次元で両立。2014年のと2020年のリニューアルにより、時代の変化に合わせて進化しました。RC 系統の丸みのある音色観が好きで、さらに均一性やボリュームを求めるすべてのジャンルのクラリネット奏者にぜひお試しいただきたいモデルです。
出典:株式会社 ビュッフェ・クランポン・ジャパン 社内資料に基づく(製品紹介資料/開発者インタビュー/ビュッフェ・クランポン公式製品ページ/ビュッフェ・クランポン・ジャパン情報サイト)