ミシェル・アリニョン氏 教授法 第11章:小クラリネット
小クラリネット(E♭クラリネットやDクラリネットなど)は、単なる持ち替え用の補助楽器ではない――本章では、ミシェル・アリニョン氏が、高音域への対応、アンブシュア、口腔内の構え、舌の位置、そして音色を保ったスタッカートの習得に至るまで、この楽器に固有の奏法を語ります。ハインリッヒ・メッツェナー氏による記録をもとに、小クラリネットを専門楽器として学ぶための本質的な視点をお届けします。
※本記事は、Cladid-Wiki(Haute École Spécialisée de Lucerne, HSLU)に掲載された
「Michel Arrignon — Pédagogie de la clarinette」
(執筆:Heinrich Mätzener/2018年5月4日・マント=ラ=ジョリー)の
公式日本語翻訳版です。
著者 Heinrich Mätzener 氏および Camille Arrignon 氏の許可のもと、
ビュッフェ・クランポン・ジャパンが翻訳・編集を行っています。
11. 小クラリネット
Petite clarinette
MA:小クラリネットを副次的な楽器として考えることはできません。それはれっきとした専門性の高い楽器なんです!つい最近、ある学生がコンクールを準備していて、そこで小クラリネットを演奏する課題が出されたんです。彼は私に言いました。「もう小クラリネットは吹けます」と。私は尋ねました。「何をしたの?」すると彼は言うんです。「先日、学生オーケストラで吹きました」と。つまりそれは ―「実際には小クラリネットを吹けていない」ということなんです。彼は私の前で演奏して見せました(モラゲスが《春の祭典》の最初のソロを口ずさむ)。当然ですが、高音域ではうまくいきませんでした。なぜなら、身体に染み込んだ反応(reflexes)を身につけなければならないからです!さきほどあなたがアンブシュアの位置などについて話していましたね。まさにその通りで ― 結局、実際にやってこそ身につくんです(原文:「鉄は打ってこそ鍛えられる=c’est en forgeant qu’on devient forgeron)」んです!単純にそれだけのことです。ですから、「小クラリネットなんて難しくない。指使いは同じだから」と言うのは、無自覚の証拠です!
HM:音域をきちんとコントロールするには、口腔内の適切な構え(ヴォカリゼーション)による制御が必要ですし、また、小クラリネットでのアーティキュレーションも、その楽器に合った舌の位置を要求します。もちろんそれはバスクラリネットとはまったく異なります。ここでは、舌をもっと下のほう――特に低音域の自然な発音のためには――リードのずっと下の位置に触れさせることができます。そして、音色を損なわないスタッカートを得るためには、訓練が必要です。
原文:Michel Arrignon — Pédagogie de la clarinette(Cladid-Wiki / Haute École Spécialisée de Lucerne)
執筆:Heinrich Mätzener(2018年5月4日/マント=ラ=ジョリー)
日本語訳・編集:ビュッフェ・クランポン・ジャパン
翻訳および公開は、Heinrich Mätzener 氏および Camille Arrignon 氏の許可に基づいています。
このページは 「ミシェル・アリニョン教授法 — クラリネット教育における哲学と実践」 シリーズの一部です。