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ブログVol.18 – 楽器を「練習する」ということ──音を聴き、方法を学ぶための思索

国際的なクラリネット奏者として多彩な演奏活動を行い、パリ地方音楽院やローザンヌ高等音楽院で教鞭をとるフローラン・エオー氏。エオー氏がフランスで執筆中のブログの日本語版を、シリーズ化してお届けいたします。

はじめに──まず教えるべき二つのこと

私のクラリネット教師としての経験から言えば、生徒にまず優先して教えるべきことは二つあります。
一つは、聴くこと――すなわち自分の音を聴くこと。
もう一つは、練習すること――すなわち練習の方法を身につけることです。
そのうえで、解釈を形づくること(精神の仕事)と、呼吸と脱力を身につけること(身体の仕事)を学んでいきます。

出典:Classical Vault 1(YouTube)
動画タイトル:Alfred Brendel – Schubert – Four Impromptus, D 899

アルフレート・ブレンデルの言葉に見る「練習」の本質

ピアニスト、アルフレート・ブレンデルは『ピアニストのABC』(Christian Bourgois版)の中で、作品に取り組むことについて次のように述べています。

何より大切なのは、曲を練習することが負担になってはならない、ということです。
作品と出会い、身体的にそれに触れ、知的に掘り下げながら、同時にその作品がこちらにどのような技術を求めているのかを聴き取っていくこと。
そして、それを自分のものにしていく過程に身を委ねること――それは時に一生続くこともある、作品と演奏者との相互的な深い結びつきの過程です。
それはついには、演奏者が作品を弾くのではなく、作品が演奏者を弾く、と言えるところにまで至ることさえあります。

無理強いもせず、かといって漫然ともせずに進めること。
つまり、練習のしすぎで作品を歪めてしまわず、また安全策もないまま何もかも大胆に試そうとするのでもないこと。
これらすべてが、ピアニストにとって最も魅力的な務めの一つなのです。

そのための条件として、ブレンデルは次のように挙げています。

良い楽器。
原典に基づく良質な版。
演奏者の身体を痛めない奏法。
集中した、しかし過度ではない練習。
向上心。
忍耐。
自分に合った作品の選択。
そして最後に、決して軽視できないこと――自分の演奏を自分で聴く力です。

この力は、時間をかけ、録音機器の助けも借りながら身についていくものです。
私が二十歳のころ、親切な人たちが Revox のテープレコーダーを贈ってくれました。
私はそれを今でも持っています。

技術と音楽性を身につけるために

楽譜を技術的に自分のものにするためには、ある箇所を繰り返し練習することが不可欠であるのは、誰もが理解しています。
しかし、音楽性を自分のものにしていくうえでも、同じように反復が必要なのだということは、意外に見落とされがちです。
フレーズを繰り返し、その中に深く沈み込み、本能に語らせ、感じ、そして考える。
身体と精神のあいだを往復しながら、ますます細やかに聴き、ますます深く感じていく。
そうしてついには、音楽が頭にも身体にも染み込むまで。

※本記事は、フローラン・エオー氏のご承諾のもと、2015年4月19日に公開されたエオー氏のブログ記事を株式会社 ビュッフェ・クランポン・ジャパンが翻訳したものです。翻訳には最新の注意を払っておりますが、内容の確実性、有用性その他を保証するものではありません。コンテンツ等のご利用により万一何らかの損害が発生したとしても、当社は一切責任を負いません。

フローラン・エオー氏 ブログ日本版
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