ブログVol.15 – 段階式メトロノームについて
国際的なクラリネット奏者として多彩な演奏活動を行い、パリ地方音楽院やローザンヌ高等音楽院で教鞭をとるフローラン・エオー氏。エオー氏がフランスで執筆中のブログの日本語版を、シリーズ化してお届けいたします。
テンポを一段ずつ上げる練習法:40〜200BPMで身につけるリズム感
若い世代の皆さんの中には、ゼンマイ式の機械メトロノーム(ピラミッド型で大きく、時にぐらつくあのタイプ)や、電子式メトロノーム(ケースの中で突然鳴り出すこともあったもの)を知らない方も多いかもしれません。
今や、スマートフォンの中に高性能なメトロノームがあり、テンポや拍子、音色を自在に設定できるだけでなく、曲のテンポを「タップ」で測ることさえできます。
しかし、みなさんは今でも「メトロノームを一段上げる」という言葉の意味をご存じでしょうか?
かつてのメカニカル・メトロノームでは、テンポの刻みは次のように決まっていました。
40〜60:2刻み(40, 42, 44…)
60〜72:3刻み(60, 63, 66…)
72〜120:4刻み(72, 76, 80…)
120〜152:6刻み(120, 126, 132…)
152〜200:8刻み(152, 160, 168…)
このように、一定の「段階」を踏んでテンポを上げていくことができたのです。
現代のデジタル・メトロノームでも、この進行法を取り入れると、自然で無理のないテンポアップ練習が可能です。
どうぞ、良い練習を!
出典:YouTube「Metronome」(投稿者:Tsuyoshi Mizuguchi/@slimemoldjuice、公開日:2009年1月10日)
機械式メトロノームの動作を撮影した映像。テンポを一定に刻む振り子運動の仕組みがわかります。
※ 本記事は、フローラン・エオー氏のご承諾のもと、2010年2月26日に公開されたブログ記事を株式会社 ビュッフェ・クランポン・ジャパンが翻訳したものです。翻訳には最新の注意を払っておりますが、内容の確実性、有用性その他を保証するものではありません。コンテンツ等のご利用により万一何らかの損害が発生したとしても、当社は一切責任を負いません。