ミシェル・アリニョン氏 教授法 第13章:結論
技術をどう伝えるか、そして教育とは誰のためにあるのか ― 最終章となる本章では、ミシェル・アリニョン氏が、クラリネット教育の本質について語ります。ハインリッヒ・メッツェナー氏による記録をもとに、長年の経験の先にある、簡潔で深い結びの言葉をお届けします。
※本記事は、Cladid-Wiki(Haute École Spécialisée de Lucerne, HSLU)に掲載された
「Michel Arrignon — Pédagogie de la clarinette」
(執筆:Heinrich Mätzener/2018年5月4日・マント=ラ=ジョリー)の
公式日本語翻訳版です。
著者 Heinrich Mätzener 氏および Camille Arrignon 氏の許可のもと、
ビュッフェ・クランポン・ジャパンが翻訳・編集を行っています。
MA:こうした数々の不確実さを前にして、私たちにできるのは、ただ謙虚であること、そして先人たちが長い時間をかけて考案し、形にしてきたものを尊重することだけです。たしかにそれは経験的な方法によるものでしたが、楽器製作において彼らが残した成果がどれほど大きいかは、私たちのよく知るところです。
クラリネット教育についても同じです。呼吸、息の使い方、空気の速度、舌の位置、口腔内の容積 ― 技術的な要素を超えて、以前にも申し上げたように、私はイメージを通して伝えていくほうがよいと思っています。そして忘れてはならないのは、音楽がなければ、こうしたことはすべて何の意味も持たないということです。
学生のうち、将来プロになる者はおそらく1%ほどでしょう。そういう学生たちは、やがてイメージや、そこから生まれる感覚を言葉にすることができるようになります。けれども、それ以外のすべての学生たち ― そして実際には、教師というものは何よりもそうした学生たちのためにこそ教えているのですが ― は音楽を情熱をもって愛し、自ら演奏したいと願い、しかも多くの場合、それを仲間とともに実践したいと考えています。私は、その情熱をわざわざ障害物競走のようなものに変えてしまう必要はないと思います。
そのいずれの学生に対しても、音楽への情熱を絶やさぬようにしたいものです。
HM:すばらしい結びのお言葉です。本当にありがとうございました。
(HM, 2018年7月31日)
参考文献
Eugène Gay (1932). Méthode progressive et complète (théorique et pratique) pour l’étude de la clarinette. Paris, Billaudot.
Prosper Mimart (1911). Méthode nouvelle de clarinette; théorique et pratique. Contenant des photographies explicatives de nombreux exercises et des leçons mélodiques. Paris, Enoch.
Guy Danguin. Debussy et la Rhapsodie pour clarinette.
R. Gallois Montbrun (1946). Concertstück pour clarinette en si♭ et piano. Paris, Alphonse Leduc.
Paul Jean-Jean (1927). “Vade-Mecum” du clarinettiste, six études spéciales. Paris, Leduc.
Joseph Marchi & Guy Carrière (1971). Méthode moderne de clarinette. Valencia, Piles.
原文:Michel Arrignon — Pédagogie de la clarinette(Cladid-Wiki / Haute École Spécialisée de Lucerne)
執筆:Heinrich Mätzener(2018年5月4日/マント=ラ=ジョリー)
日本語訳・編集:ビュッフェ・クランポン・ジャパン
翻訳および公開は、Heinrich Mätzener 氏および Camille Arrignon 氏の許可に基づいています。
このページは 「ミシェル・アリニョン教授法 — クラリネット教育における哲学と実践」 シリーズの最終章です。