
ビュッフェ・クランポン Festival 徹底解説|多用途性で選ばれる“R13系の進化形” | Buffet Crampon
クラリネット深掘り特集・第3回
Festival(フェスティヴァル)とは — R13の伝統を磨き上げたプロ仕様
1987年、ジャック・ランスロ/ギイ・ドゥプリュ/ミシェル・アリニョンという名手陣と開発チームの協働から生まれた“Festival”(フェスティヴァル)。R13系の内径にもつ明瞭な芯と柔軟性を土台に、低音〜高音でのピッチの安定、ダイナミクスの余裕、扱いやすさ(人間工学)を高めた“正統進化モデル”です。一本でソロ/室内楽/オーケストラを往来しやすい再現性を備え、登場以来、現場基準で磨かれ続けてきました。
- 1987年誕生:R13系ハイエンド(テスター陣と協働)
- 特性:明瞭な芯・均整のとれた音程・ダイナミクスの余裕
- 適性:ソロ/室内楽/オーケストラまで一本で往来しやすい再現性
- 系統:R13(FestivalからToscaへ連なる発展ライン)

誕生の背景 ― 名手の耳と現場評価で詰めたプロトタイプ
R13の設計資産を基盤に、実務要件(音域間の収まり、長時間演奏での操作性など)を満たすべく、音孔配置の見直しや下管長の検討を往復。テスターの実地評価で「舞台で思ったとおりに応答するか」を基準化しました。調整可能な指かけの早期採用も、体格差や負担軽減に資する設計として象徴的です。
「“Festival”は“R13”の改良版として誕生し、プロの現場に即した“改善回答”だった。」
― ダニエル・ゴーティエ(元開発責任者)

設計の設計の特徴 ― 核はR13系、現場で効く要素を追加
“Festival”は誕生以来、細部の改良を重ねながら現行モデルとして継続。2024年には現代の要望に応じた刷新が施されました。
・ボア:R13系(芯の明瞭さ・柔軟性)。
・音程:音孔配置の最適化で低音〜高音の安定。
・ダイナミクス:pp〜ffで余裕があり、輪郭が崩れにくい。
・扱いやすさ:調整可能な指かけほか、人間工学面の配慮。
・仕立て:選別材/メタルリング接合など、プロ仕様の安定感。
アップデートと現代性 — バルディルーがもたらした精度
2024年の刷新は、“Festival”の内径(R13系)と音色という“核”はそのままに、演奏現場からの要望が多い箇所を最適化しました。
・B♭管・右手域(E♭/D/C♯/C):音孔位置を再設計し、高めに出やすかったピッチの整列を自然化。
・ベル:約1mm短縮で立ち上がりの反応/遠達性(Projection)を向上。
・A管:C♯/G♯の立ち上げ音孔追加、レジスターチューブ外出しで応答性と整合を改善。
・意匠:ロゴ刻印手法の見直し。
「右手域の音程を整え、ベルをわずかに短く。反応と飛びが増した。」
「“Festival”の音色や吹奏感はそのままに、どの現場でも安心して吹ける。」
― ニコラ・バルディルー(フランス放送フィルハーモニー管弦楽団 首席、2024年の刷新担当)

音色と演奏特性 — 明快な芯×安定したピッチ
・音色:R13系の明瞭な芯に、豊かな倍音と力感が加わる。
・音程:音域を跨いだ収まりが素直で、決めやすい。
・運用レンジ:古典の透明感からロマン派の歌わせ、近現代の強いアタックまで、幅広い表現に対応。
「“Festival”は音色と吹奏感のバランスが良く、古典から協奏曲、オーケストラまで一本で臨める。」
— ニコラ・バルディルー(フランス放送フィルハーモニー管弦楽団 首席、2024年の刷新担当)


系統内での位置づけ
“R13”:シリーズの基準点。明瞭な芯と柔軟な吹きやすさで、表現づくりの出発点。
“Festival”:R13を土台に、音程整列・ダイナミクス・操作性を高めた実演向けアップデート。
Tosca:R13系の到達点。全音域でピッチが揃いやすく、フォーカス明確。遠達性(=音の飛び)にも優れる。
(対照)RC系(RC/Prestige/Divine):丸み・厚みを主軸に発展。

仕様
システム:ベーム式、18キー/6リング
内径:R13系統
管体:厳選グレナディラ(接合部補強リング)
キィ:洋銀・銀めっき/精密特殊加工スチール針ばね・板ばね
指かけ:調整可能
パッド:GORE-TEX
付属:バレル65/66mm(B♭)、〈HB〉リガチャー&キャップ、ケース(ポシェット:ワイン)+ケースカバー
仕様

まとめ
“Festival”は、R13の設計資産にピッチの安定と多用途性を重ねたプロフェッショナル・モデル。1987年の誕生(名手陣との協働)から、2024年に二コラ・バルディルーが監修した右手域ピッチ改善/ベル短縮など最小量の最適化を積み重ね、一本で様々な現場に対応する再現性を磨いてきました。明快な芯と安定したピッチ、遠達性(=音の飛び)——それらの均整が、今日も幅広い奏者の信頼を支えています。
出典:株式会社 ビュッフェ・クランポン・ジャパン 社内資料に基づく(製品紹介資料/開発者インタビュー/ビュッフェ・クランポン公式製品ページ/ビュッフェ・クランポン・ジャパン情報サイト)